【レビュー】16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える「脳を本気」にさせる究極の勉強法

○○脳などない?

脳は自分が思っている通りにはなかなか動きません。
脳との上手に付き合っていくためには、客観的な立場から性格やクセを知る必要があります。脳は生活習慣によって見た目や形、能力が変わっていき、好奇心には脳を成長させ、若々しく保つ力があります。脳には何歳になっても成長できます。

また、男性脳と女性脳、文系脳と理系脳などという枠組みは存在しない。人の脳の状態は環境次第で変わってきます。

勉強を始めるというハードルを下げる

2章で、勉強を始めるというハードルを下げるための方法が紹介されています。
勉強場所を決めないなど実行までの物理的障害をなるべく少なくすること、移動時間などのちょっとした時間に勉強をして時間的障害を少なくすることが大切です。

勉強の効率を上げるには、寝る前に勉強するのが良い。脳には「汎化」という「ある能力が伸びるとそれにともなって他の能力も伸びる」という特徴がある。自分の好きな勉強をすることが脳のパフォーマンスの向上に繋がります。

3章で自分が勉強するべきことの全体像を把握し、その中で重要なことをはじめに学習し、その後細かなことを学習することで学習効果が向上することで紹介しています。

食生活、睡眠は?

脳の成長に大事なことは、腹八分目の食事、十分な睡眠、軽い運動です。
記憶力を上げるためには、カロリーをとりすぎないで、空腹の時間を作るような食生活が大切です。運動は脳を直接的に成長できる方法。そして睡眠は記憶の定着、脳の疲れをとるために必要なことです。また、たばこやお酒は脳を破壊し委縮させるリスクを持っています。勉強効率を上げ、脳のパフォーマンスを上げるために日常生活を整えることがとても重要です。

目指す夢はあったほうがいい?

情報を取捨選択する上で「夢」が非常に役立っています。夢に対して注意を向けることで、脳が情報の選別を夢に合わせて行うからであす。また、勉強をするにあたっての不安になることを防ぐのは、全体を見通す、具体的に想像することの2つです。知的好奇心はアイデアを生み出し、そのアイデアでどんな分野でもオンリーワンになることができるでしょう。

はじめに

大人になってからも、どんどん脳の力を高め、豊かに年齢を重ねていく人がいます。その人は、仕事ができるだけでなく、趣味も人間関係も充実している。
心も体も、そして脳も健康で、加齢の分だけ、人生の幅が拡がっていく。
脳の専門家である私が本書を執筆することを決めたのは、最新の研究から、大人の脳の特徴を活かし、何歳までも脳を育てて能力を高める方法がわかってきたからです。
私は脳の専門家として、日々たくさんの人の脳と向き合っています。

その方法は脳外科医などとはちょっと違います。私の専門は脳の画像診断。MRIという磁気を使った大きな装置で人々の脳の画像を大量に撮影し、それをデータとして蓄積し、解析をしています。
この装置を使うと、脳の中が3次元で写し出されてきます。脳の状態や活動状況まで、リアルタイムで見ることができるのです。
これまでに5歳の子どもから3歳を超える年配の方まで、多くの方々の脳画像を見てきました。このように大量のデータを蓄積している組織は世界でも有数で、日本には、私の所属する「東北大学加齢医学研究所」以外ありません。

ここでは脳画像のデータを蓄積していくとともに、その方の他の様々な情報を収集しています。血液や唾液から「遺伝子」情報を、認知力テストで現在の「認知力」の程度を、睡眠時間・食習慣・運動時間・飲酒・喫煙・趣味など多岐に渡る「生活習慣」を集めます。その分析を通して、「どのような(遺伝)体質の人が、どのような暮らしをすると、どのような病気になりやすいのか」といったことがわかるようになってきました。
特に、私が専門の1つとしている認知症の分野では、その人の体質と生活習慣の与える影響が徐々に明らかになってきています。

前著『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える「賢い子」に育てる究極のコツ』では、中でも10代までの子どもに焦点を当てて、より脳の力を伸ばしながら、才能豊かに子どもを育てる方法をお話ししました。
MRIを経験したことのある方なら想像できると思いますが、脳画像を撮影するためには、天井が迫ってくるような狭くて大きな音のする空間に入り、身動きをせずにじっとしていなければいけません。子どもに負担とならないように脳画像を撮影させてもらうことは非常に難しい――ということで、私たちほどたくさんの子どもの脳のデータを持っている機関は他にない、と自負しています。

前著では、そのビッグデータをふまえて、脳がもっとも急激に成長している「子どもの時期」について追いかけました。賛否両論、様々なご意見をいただくのは、研究者としてありがたいことと思います。

脳の成長は、「子どもだけの特権」?

しかし、その本の読者の方からいただいたご意見の中で、見過ごすことのできないものがありました。「もっと早く、脳の成長の話を聞きたかった。もう20歳を過ぎてしまった自分は、手遅れなのではないか」「大人になっても脳は成長し続けると書かれているが、最近、記憶力の衰えを確かに感じる。そこはどうか?」そんな、大人の方からのご意見です。
前著でも書きましたが、私は自身の研究から、脳というのは生きている限り、一生、成長し続け、新しい能力を獲得し続けることができるという考えを持っています。

それは、ひと握りの特別な力を持った人だけの特権ではなく、私たち全員が等しく持つ、脳の性質の1つです。さらにいえば、脳自身は、「成長し続けたい」「新しい能力を獲得し続けたい」という本能に近いものを持っているようにさえ、感じています。
そこで本書では、いわゆる「成長期」を過ぎてしまった大人―大学生くらいから始まって、社会に出た方、リタイヤした方が、自分の脳をより育て、勉強や仕事、趣味などで、新しい知識を得たり能力をより大きく伸ばすためにどうしたらいいのかを考えていきます。

脳を育てる子育てについて書いた『6万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える「賢い子」に育てる究極のコッ』と、脳の老化と認知症予防について書いた『生涯健康脳』(ソレイユ出版)の間を埋める1冊として、皆さんの人生をよりよくするお手伝いができれば幸いです。

「脳が成長」すると、仕事の力もアップする

成長と老化はひとつながりで同じもの。これが、脳の基本原則です
私たちはつい、子どもの変化について考えるときには「成長」と捉え、大人―特に中年を過ぎてからの変化について考えるときには「老化」と捉えがちです。
たとえば、子どもの身長が伸びるのは「成長」、年をとって身長が縮むのは「老化」と思うでしょう。確かにその通りなのですが、起こっていることの基本的なルールが書き換わっているわけではありません。

子どもでも大人でも、体に起こっているのは、古い細胞と新しい細胞が入れ替わっているだけ。ただし、年をとると新しい細胞がつくられるスピードが落ちるので、外から見るとあたかも縮んでいる、というだけなのです。
脳について考えるときも同じです。私たちはつい、「年をとって記憶力が落ちた」と感じ、「脳が老化した」と捉えます。でも、脳内で起こっていることは変わっていません。受けた刺激に対して、可塑性(変化し続ける性質)を持っている脳が、変化して新しい知識を獲得する。

ただし、年をとるほどに可塑性は少しずつ低下していくので、あたかもその能力が縮んだかのように感じるだけです。「老化=能力の喪失」ではありません。記憶の仕方を、今の脳の状態に合った方法に変えてあげれば、記憶力の低下を嘆く必要はなくなるでしょう。

また、脳は加齢にともなって、幼少期にはなかった新しい能力を獲得しています。たとえば、どうしても気が合わない人がいたとき、幼い子どもは「嫌い」「気が合わない」という感情をなかなか隠すことができません。いえ、むしろ子どもの頃は、そういった感情は無理に隠さないほうがいいでしょう。感情で行動して友だちと喧嘩をしたり、親に怒られたり……こうした経験が、子どもが健全に成長していくための大切なプロセスです。

一方、大人は周囲の状況や相手との関係を考慮して、相手が不快にならない程度に振る舞うことができるでしょう。さらに年をとれば、そういった対応は、よりうまくなっていくはずです。
あるいは、一般的に「記憶力がいい」といわれる子どもの頃でも、「日本史と中国史、ヨーロッパ史が結びつかない」という悩みを持つ方は少なくありません。それぞれの歴史はわかっているのに、横の関連性が捉えられない。これも、子どもの脳の特徴です。

しかし、そのような悩みを持っていた方でも、大人になった今、勉強し直していただければ、それぞれの結びつきを以前より強く感じることができるでしょう。大人になって脳の得意分野が変化した結果、短時間の勉強だけで理解が深まった、新しい側面が見えてきた……なんてこともよく聞きます。
こうしたことも、大人の脳の新たな能力の獲得です。紛れもない「脳の成長」の一部なのです。

まだまだ研究途上。わからないからこそ、脳は面白い!

成長と老化はひとつながりであり、イコールである。その立場に立たないと、特に脳に関しては、様々な誤解を生み出し、自ら限界を設けてしまうことにつながります。「何歳になっても脳は成長している」と捉えることができれば、私たちの人生の可能性は無限に膨らんでいくのです。
ただし、脳はそのすべてが解明されているとはいえません。実のところ、わかっていることよりも、まだわからないことのほうが多いのではと私は考えています。それだけに様々な言説があり、中には今の研究では正しいとはいえないことも多くあります。

いわれていることが必ずしも正しくなくても、その知識を得たことで、何か(やる気になったり好奇心が拡がるなど)いい効果があるのであれば、それは悪いことでは?ないと思います。しかし、間違った知識のもと、自分の脳の可能性に自ら限界を設け、諦めてしまったとしたら……。たった一度しかない自分の人生に対して、非常にもったいない!
そこで本書では、これまで明らかになっている脳についての話をしていくのはもちろんですが、さらに、「脳についての都市伝説と、その真相」を、専門家の視点から紹介していけたらと思っています。

大人も子どもも、脳の可能性は無限です。本書を通して、少しでもそのことに気づいていただけたら、これほど嬉しいことはありません。
さあ、さっそく、私たちの「脳」と、その力を最大限に引き出す方法について、見ていくことにしましょう!

東北大学加齢医学研究所教授瀧靖之

もくじ

はじめに
脳の成長は、「子どもだけの特権」?
成長と老化はひとつながりで同じもの。これが、脳の基本原則です
まだまだ研究途上。わからないからこそ、脳は面白い!

第1章 20歳を過ぎたら、 「脳との付き合い方」を見直そう
大人になると、「脳」と「自分」との『ちょうどいい距離感”が変わる
脳はなかなか、思い通りに動かない。
私たちは皆、脳に対して「放任」すぎる?
「脳の働きが鈍い」のは、酷使しすぎるせいだった
本書は、脳の力を120%発揮するためのヒント集です
「暗記術」「速読」などのスキルより大事なものは?
脳は、あなたがこれからとる行動でつくられていく
「脳の成長が加速する習慣」がある
脳は、想像以上に「やる気」「好奇心」で満ちている
「勉強=いいこと」は、人間の本能的価値観
脳の〝勉強欲”をかき立てるには、コツがある
何歳からでも大丈夫!脳は絶対に諦めないの
なぜ、「何歳からでも遅すぎることはない」と断言できるのか?
大人の勉強こそ成果が出やすい
「学歴が高いほど、脳が若い」のウソとホント
脳を育てる「栄養」とは?
大人の脳・子どもの脳の中では「何」が起こっているのか?
「生まれてから大人になるまで」の脳の発達
脳は、個人差の大きな臓器です
学生時代と同じ勉強では、大人の脳には物足りない
老化と成長の分岐点
大人脳は遺伝の影響が小さい
「がむしゃらな努力」からも卒業を
「男性脳・女性脳」と「理系脳・文系脳」
男性脳と女性脳……って、存在するの?
性別と得意分野の関連性
理系脳・文系脳と適職・才能
「右脳・左脳」の考え方は、もう古い!?

第2章 机に向かってすぐ集中するための脳の「準備」
脳の準備1「脳のやる気」に火をつける
「脳が勉強したがる環境」とは?
「勉強部屋撤廃」のすすめ
脳をその気にする「見える化」テクニック
COLUMN 書斎を置こう
脳の準備2短時間で脳の力を引き出す
細切れの時間を勉強タイムに変える「メモ術」
脳の準備3 勉強・仕事の効率は「順番」で決まる
医学部生の常識「睡眠『前』学習」とは?
定着率を劇的に上げる「寝る前の10分間」復習法
実践!勉強時間の「賢い」 組み立て方
健康にも勉強にも「一夜漬け」が効かない脳の事情
脳の準備4 大人初心者の教材選びのコツ
子ども向け・受験生向けの意外な役割
脳の準備5 モチベーションを高めて保つ
「好きな勉強」こそ、大人の脳の最高のご褒美
「慣れていない」と「向いていない」を取り違えない
COLUMN 大人の勉強に「競争」は不要
脳の準備6好奇心は「理由」から生まれる
知的好奇心の本質とは?
「その先の楽しみ」をもっともっと描く
「高学歴→社会で活躍している人」を解剖してみると?

第3章 脳が本気になる。 大人の勉強テクニック
脳の成長法則1全体→細分化を徹底する
「順番通り」には勉強できないのが大人の脳
学習効果が格段に上がる3つのステップ
脳の成長法則2「5分の予習」が結果を変える
図鑑も大事な「予習」の1つ
脳の成長法則3「学ぶよりまねる」で成長スピードが上がる
先生選び—見落としがちな勉強の秘訣3
脳の成長法則4一海馬の使い方を変える
「大人になると記憶力が下がる」は脳医学的にウソである!?
たった1年で「全米記憶力チャンピオン」になった青年
脳の成長法則5効率と精度を上げる記憶の法則
暗記には「語呂合わせ」をすすめる科学的根拠
「何度も繰り返す」はやっぱり必須?
なぜ脳は1回で暗記できないのか
記憶力が悪いことの意外なメリット
努力しない繰り返しの仕方
COLUMN 問題集の上手な使い方
脳の成長法則6脳に定着させるノート・メモの技術
適切なメモをとるにも、予習がすべて!?
脳の成長法則7論理的思考力を鍛えるには?
脳の成長法則8文章力・表現力はコミュニケーションカの源
読解力を高める本の読み方
「行間を読む力」は大人になってからでも身につけられる
脳の成長法則9集中力・思考力を上げる
高い集中力は、「決める」ことで磨かれる
習慣化で、脳のエネルギー消耗を抑えよう

第4章 地頭を鍛える生活習慣
勉強しない時間をどう過ごすかで、勉強効率が変わる
やっぱり大切、3つの基本
その「マイナス貯金」が老化スピードを上げている!?
「規則正しい生活」神話のウソ、ホント
食事を変えれば、記憶力は上がる
海馬を育てる食事テクニック
脳と朝食
最強の朝食メニューのつくり方
脳を活性化する「適度な運動」とは?
うつ病・認知症の医療現場でも取り入れられる「脳トレ」法
ストレスが脳を破壊する
睡眠は脳のクリーニングタイム
アルツハイマーと睡眠量は関連している!?
勉強するよりも寝たほうがいい人
5分、10分の休息で、脳のパフォーマンスを取り戻す
「寝る前のスマホ」をやめるべき本当の理由
「日中の眠気」こそ、若さゆえの特権?
なぜ喫煙・飲酒は、脳にとってマイナスか
タバコの2つの弊害
お酒の影響は実は未知数
脳の成長力を最大限伸ばす「習慣」とは?
「習慣を変えられる人」が、最後に笑う

第5章 学びの成果をアウトプットする最高の方法
最新の脳医学が教える「大人の勉強」の一番のメリット
「夢」は子ども時代より大人のほうが叶えやすい
何歳までも若々しい脳を維持し続ける人の共通点
だから、大人の夢こそ叶いやすい
脳をストレスフリーにする夢の役割
脳は「不安に弱い」ようにできている
不安の特効薬は、唯一「知る」こと
再受験で医学部生に
大人こそ、もっと自由に才能を楽しんだほうがいい
飽和しているものを結びつける
世の中を「上から目線」で見るために
脳の健康にいい「オンリーワン」思考

おわりに
勉強は、自己実現の自由を得る最強ツール

文献一覧

第1章20歳を過ぎたら、「脳との付き合い方」を見直そう