【レビュー】一流の頭脳 – 世界を圧巻する最新脳科学プログラム

あらゆる能力を最大化!

本書は、これまでの研究成果をもとに、脳の働きや特徴について解説されており、脳が持つ潜在的な能力を最大限に引き出すための方法が説明されている本です。脳は、謎が多い器官とされ、長い間、ブラックボックスのような扱いを受けてきました。しかし、脳研究は年々進んでおり、徐々に本当の姿が解明されてきました。

脳科学の本は、数多く存在しますが、本書は、比較的わかりやすい言葉で、科学的なエビデンスに基づき、集中力や記憶力、創造性といった能力を20分から30分の運動を行うことの有用性が語られています。

腕の筋肉を鍛えるために、筋肉に負荷をかけてトレーニングすることは効果があると多くの人は知っています。しかし、同じように脳を鍛えるためにパズルや脳トレをしても効果はあまり期待できず、戦略的に運動をするほうがはるかに効果が高いと主張しています。

この主張はにわかに信じがたい、と感じる方もいるかもしれませんが、本書では、脳を物理的に変えられることから解説をし、脳が持つ能力をいかにして引き出すかを章ごとに解説しています。脳を物理的に変えられることについては、特に印象的な内容です。

一般論として、脳は右脳と左脳に分かれ、左脳は論理的な思考を行う機能を持ち、右脳は創造的な思考を行うと考えられています。しかし、著者は、この論を大まかには正しいが、脳の役割がはっきりと分けられているわけではないと言います。

脳の器官が欠けてしまった人の事例を2つ紹介し、確かにいくらか不自由な点はあるものの、欠けている器官が果たすはずだった機能が完全に失われているわけではなく、逆に他の能力が通常では考えられないほど発達したことから、脳の構造と機能が変えられることが事実であるとしています。

著者はスウェーデンのカロリンスカ研究所で、研究を行ってきた精神科医で、適度な運動が脳に及ぼす影響を科学的根拠に基づき説明しているため、説得力があります。脳の研究に興味がある方や脳のパフォーパンスを上げたいと考える方には参考になるかもしれません。

アンダース・ハンセン (著), 御舩由美子 (翻訳)
サンマーク出版 (2018/2/23)、出典:出版社HP

 

ハンス・オーケ・ハンセン(1940~2011年)に、
そして、ヴァーニャ・ハンセンとビョルン・ハンセンに。

はじめに

驚異的な「脳のアップグレード」を可能にする科学が実証した世界最新ノウハウ

両手でこぶしをつくり、向かい合わせにしてみよう。それが、あなたの脳の大きさだ。重さは、牛乳の紙パック1本分ほどだろうか。その小さなかたまりのなかに、あなたがこれまでに感じたことや、経験したことのすべてが詰まっている―そう考えてみよう。

あなたという人間の個性。今までに習得したあらゆるもの。そして記憶―3歳の夏のぼんやりした思い 出に始まり、児童期、思春期、やがて大人になって、この本を読んでいるまさに今この瞬間までの、ありとあらゆる記憶がそこにあるのだ、と。

何もかもが蓄積されたそのかたまりは、私たちの知るなかで宇宙一複雑な構造を持つ物質といえるだろう。
ところがエネルギーの消費量は、わずか電球1個分ほどだという。

脳とは誰をも引きつけてやまない、じつに興味深い器官といえるのではないだろうか。
それ以外の器官の働きについては、かなり前からわかっていたものの、脳だけは依然として謎に包まれていた―ただし、これまでは、である。

近年、様々な検査機器が開発されたおかげで驚くほど多くの謎が解明されている。脳の働きについて詳細にわかってきたのである。

今では、脳は私たちの一部ではなく、脳が私たち自身なのだという事実に疑いを持つ人はいない。

脳の研究が進んだことにより、人間の個性が生物学的にいくらか解明されていることは事実だが、だからといって、その人がどのような人生を送るかまで決まるわけではない。脳は思いのほか柔軟であることが様々な研究によって明らかにされており、それは子どものみならず大人にもいえるという。

脳のなかでは絶えず新しい細胞が生まれ、互いにつながったり、離れたりしている。あなたが何かをするたびに、それどころか何かを考えるだけでも、脳は少しだけ変わる。
たとえるなら、それは固まらない粘土のようなものだろう。

では、どうすればこの「粘土」を、あなたにとってベストな形に変えられるのだろうか。
じつは身体を動かすことほど、脳に影響をおよぼすものはない。これが本書のテーマであり、とりわけ効果の高い身体の動かし方とそのメカニズムをお伝えすることが、この本のねらいだ。

運動をすると気分が爽快になるだけでなく、集中力や記憶力、創造性、ストレスに対する抵抗力も高まる。そして情報をすばやく処理できるようにーつまり思考の速度が上がり、記憶のなかから必要な知識を 効率的に引き出せるようになる。
また特別な「脳内ギア」を入れることで、混乱した状況下で意識を集中させ、心が乱れていても平常心を取り戻すことができる。運動によってIQ(知能指数)が高くなるという説さえあるのだ。

トーマス・エジソンの「身体の主たる機能は、脳を持ち運ぶこと」という言葉は、言い得て妙といえるだろう。
腕を鍛えたければ脚ではなく腕のトレーニングをするのだから、脳も同じはず。

私たちはそう考えて、クロスワードパズルや記憶力のトレーニング、様々な脳トレ・メソッドで頭を鍛えようとする。しかし結論からいえば、効果はあまり期待できない。

脳の機能を高めるには戦略的に運動をするほうが、パズルや脳トレよりはるかに効果があることを、研究 成果がはっきりと証明している。驚いたことに、脳は頭を働かせようとするより、身体を動かすことでこそ 威力を発揮する器官らしいのだ。

本書では、運動が脳におよぼす絶大な効果を紹介し、その理由についても説明する。 効果のなかには、すぐに実感できるもの、たとえばウォーキングやランニングをしてすぐに違いを感じるものもあれば、少なくとも1年は続けないとわからないものもある。だが、運動で脳の様々な働きが改善されることは、科学の研究によりはっきりしている。

アンダース・ハンセン (著), 御舩由美子 (翻訳)
サンマーク出版 (2018/2/23)、出典:出版社HP

具体的に何をすればいいのかも、詳しくお教えしよう。
これは、まさに「闘のアップグレード」にほかならない。

本書の流れは次のとおり。
まずは第1章で脳そのものが物理的に変えられることを明かしたい。もちろん、「物理的に脳が変化する と、どんなうれしい効能が得られるのか」も一緒に、だ。

そして続く第2章では、コンディショニングを妨げる大敵「ストレス」を脳から取り除き、パフォーマンスの基礎値を高める方法について。

第3章では「集中力」について説明する。
そして、「やる気」(ここでとっておきの脳内物質が登場する!) 「記憶力」「クリエイティビティ」「学力」「脳の健康度」を高める方法について1章ずつ説明したのち、より「一流の頭脳」プログラムをスムーズに実践するための知識をお教えしたい。それは「脳の秘密」ともいえる、これまで明かされることの なかった「あなたに関する極秘情報」である。

そして最後に、「一流の頭脳」をつくるためのプログラムをまとめて締めくくる構成で本書は進んでいく。
最初にお伝えしておきたいのは、本書では科学的根拠なき話はできるだけ書かないということ。

私はノーベル生理学・医学賞を選定する機関「カロリンスカ研究所」でリサーチャーとして活動し、幸い にも脳研究の最前線に身を置くことができた。

また、精神科医になってからは蓄えた知識をより実践型にアップグレードし、患者のみなさんに実際に試 してもらうことで日々効果を確認している。

本書でお伝えするのは、まさに脳のアップグレードに成功した「実践型の情報」にほかならないことを、初めにお約束したい。

とはいえ、あなたはすでに、「身体を動かすことは人生をより有意義なものに変える」という事実をご存じかもしれない。

しかし、そう頭で思っていても、なかなか実行に移せないのはなぜだろう?

なぜ運動が脳に変化をもたらすのか、どんな研究が行われてどのような結果からそれが導き出されるのか ―これまで明かされることのなかった科学的裏づけをお伝えし、納得したうえで身体を動かす一歩を踏み 出してもらうことが、本書の役割だと思っている(かといって、難しい専門書ではないのでご安心を)。

医学や科学のエビデンスから脳に関する秘密を紐解く本なので、「前頭葉」や「側頭葉」といった用語が登場するが、医学部生でないかぎり、本書中では「脳のある部分」くらいに受け止めてもらえれば、と思う(たとえば、「後頭葉」なら「脳の後ろあたりね」といった具合に)。それでも引っかかったときは、巻末 に用語集を掲載したので、確認していただければ幸いだ。

あなたの頭脳に隠されたパワーをフルに引き出すプログラム、さあお楽しみあれ!

アンダース・ハンセン

アンダース・ハンセン (著), 御舩由美子 (翻訳)
サンマーク出版 (2018/2/23)、出典:出版社HP

目次

はじめに 驚異的な「脳のアップグレード」を可能にする
科学が実証した世界最新ノウハウ

第1章
自分を変える「ブレイン・シフト」
「あなた」に関する、知られざるとっておきの秘密
原始人と現代人の知能レース
「脳のアップグレード」が実現可能な科学的根拠
この研究報告には「意味」がある
100兆もの「脳内連携」をフル稼働させる
どうやら、私は間違っていた
「一流の頭脳」の判定基準
あなたの頭脳は「プラス」か「マイナス」か
一流と二流を分ける「ほんの些細な誤解」
脳のアップグレードを「完遂」する
「脳が半分しかない女性」という最高の事例
頭が「いつもの2倍」働いた
「人間グーグル」と化した天才少年
「ブレイン・シフト」は、魔法の出来事』ではない
科学で「もっとも信頼できる」とされる方法で行う
Column 本当に脳は「0%」しか使われていない?

第2章
脳から「ストレス」を取り払う
あらゆるパフォーマンスの基礎値を高める算段
「見えない敵」が頭を鈍らせる
緊張すると「ドキドキ」するのはなぜ?
ストレスが「次のストレス」を生む
「イライラ」で物覚えが悪くなる
こうして頭が「ぐちゃぐちゃ」になる
ストレス物質「コルチゾール」を手なずける
「自転車をこぐ」とストレスは確実に減る
「ちょっとした予測」が仇になる
「心配」するたび脳は小さくなる
「長時間1回」より「短時間数回」のほうが断然いい
「お酒」は本当にストレスに効くのか?
ストレスを「火種」から消す
「抗ストレス・ニューロン」を活性化させる
「ムキムキ」だとイライラしにくい?
世界のストレス研究、最新知見!
南米の研究 「理由なきイライラを鎮めるベストな策」
フィンランドの調査 – 週2回 がボーダーライン」
敵になるストレス、味方になるストレス
「恐怖」を感じない女性
これで、ホラー映画も怖くなくなる?
脳が「ハイジャック」される事態
賢くストレスを解消する
「体重」をハックせよ!
ウォーキングとランニング、どちらが有効か
心拍数を上げて脳に「予行演習」させる
「得られるもの」はあまりに大きい
抗ストレス体質を培うプラン
Column 「無理やりパニックを起こす」ストレス生体実験

第3章
カロリンスカ式「集中力」戦略
圧倒的な成果を手にする「没頭する技術」
たった一つのことに集中する いくら「気合い」を入れてもダメ
「集中力不足」という流行病
なぜ集中しても「続かない」のか?
思考を一点に絞る「フォーカス・メカニズム」
「何」があなたの集中力を決めるのか
「対策」がなければ必ず気は散る
あなたは「正常」「異常」どちらでもない
脳に「本当に必要な情報」だけを選んでもらう
「ドーパミン」で雑音を消す
集中物質「ドーパミン」を総動員する
ドーパミンが増える「条件」は解明済み
こうすると、「もっと」集中できるようになる
「マシュマロ」で実験をする
「自制心」を科学的に高める
「注意散漫」の最新サイエンス
集中力回復にかかる時間は「最短5分」
「日中の過ごし方」が思いがけず影響する
自分をコントロールして最後までやり抜く
「あきらめるとき」と「粘るとき」
問題の「本当の原因」は何?
「サバンナだったら」と考える
もっとも厳しい「2日間」を乗り切る
集中力を脳に戻すプラン
Column 「ソファ」に座るとバカになる?

第4章
「やる気」の最新科学
目標まで迷うことなく一気に突き進む
意欲が湧かないのはなぜ?
「気の持ちよう」では一向に解決しない
「もっといい方法」がある
アメリカ薬学会が困惑した「不都合な真実」
「気分のムラ」は%抑えられる
何百ものモチベーション研究で出された結論
こうして「あなたの感情」が決まる
最強の脳物質BDNFを分泌する
意欲の流出を防ぐ、科学が「奇跡」と呼ぶ物質
「どうすれば」いい?
「細胞レベル」でやる気を回復させる
「性格」も変わる。
「ランナーズハイ」の科学
合法的に「違法レベル」になる
それは「どんな現象」か
なぜ「ウォーキングハイ」は起きないのか
「空腹感」をゾーンに入る合図にする
どうすれば「その状態」になれるのか
「プチ・ランナーズハイ」で意欲を高めるプラン
Column 「産みの苦しみ」さえいつか忘れてしまう

第5章
「記憶力」を極限まで高める
試験、ビジネス、運動……他者と顕著に差が出るのはここ!
「脳の萎縮」を食い止めろ!
いったい「何」が覚える力を決めるのか
自分の力で「メモリー遺伝子」は若返る
「暗記できる単語の数」が実際に増えた
同時に覚える」と定着率は段違いに上がる
むしろ暗記力が下がる運動
記憶力は「運動神経」にも影響する
ただし走りすぎると忘れっぽくなる
脳細胞の復活劇
脳細胞を「15%増やす」実験
「新しい挑戦」をする必要はない
「死の直前」でも脳細胞は増える
核実験が「脳の謎」を解いた
これで「ニューロン増殖率」が2倍になる
「ほかのやり方」ではダメ?
どんな条件下なら「メリット」が最大になるか
脳細胞が減らない「食事」
「どの記憶力」を伸ばす?
「脳トレ」では頭はよくならない
何でも覚えてしまう具体的プラン
Column | 「日常」より「非日常」を脳は選ぶ

アンダース・ハンセン (著), 御舩由美子 (翻訳)
サンマーク出版 (2018/2/23)、出典:出版社HP

第6章
頭のなかから「アイデア」を取り出す
最新リサーチが実証した「ひらめきの生み方」
アイデアの科学 それは「突然」やってくる?
「創造性」とは何か アイデアが歩き出す
「どこでやるか」は問わない
ひらめくには走るべきか、歩くべきか
「太ったクリエイター」が少ない理由
才能 VS 努力
アイデアを「産」する
「創造の発信源」を突き止め刺激する
「視床」がキー情報を選出する
天才の条件
思いつく「確率」を上げる
「ノーベル賞級の発見」にはパターンがある
脳内に「アイデアの波」を起こす
創造性を発揮するプラン
Column 遺伝子で「あなたの将来」はわかる?

第7章
「学力」を伸ばす
才能を一気に開花させる最良の方法
学力と運動の絶対的な関係
「体力」が知力を決める
たった一度の運動」でいい
学力優秀国・フィンランドの「歩数」調査
どうやって運動させるのがベスト?
学力を上げるのは「心拍数」だった
頭がよくなる。は「どこ」が「どうなる」ことか
「理系科目」を伸ばす
どんなやり方なら「もっと早く」点数が上がる?
IQを高める
「持久力」がIQを磨く
勉強だけしても「高学歴」「高収入」は望めない
親が絶対に今すぐ「やったほうがいい」こと
IQを高めるプラン
Column 子どもに「外国語」を習わせるのは本当に得策?

第8章
「健康」な頭脳
認知症、高血圧、高血糖……あらゆる病と無縁な「長生き」の秘訣
「脳の老化」に歯止めをかける
脳が3歳, 若返る「20分」の使い道
あなたが他人より老けやすい確率は「33・3%」
健康な頭脳が「健康寿命」を長くする
「認知症」の発症率が40%減った
「血圧」「血糖値」「体内の炎症」も改善する
あらゆる「疾患リスク」を減らす最高の健康法はこれ!
「実年齢」「脳年齢」「身体年齢」はてんでバラバラ
長寿地域「ブルーゾーン」の小さな努力
脳の老化に抗うプラン

第9章
超・一流の頭脳
あなたを劇的に変える「脳の機密情報」
知的体力に差がつく「世界最古の知識」
あなたが「サル化」しないある条件
脳に「もっとも重要な仕事」をさせる
「移動距離」と脳の大きさは比例する
「頭脳クライシス」を脱出する
「50%減った歩行距離」をどう補うか
あなたの頭脳は「たった1秒」で激変した
放っておくと「すぐ」に「たくさん」を求めてしまう
科学が示す「現時点で最新の結論」
医学の父・ヒポクラテスの進言
科学が証明した「必要十分条件」を満たして手を打つ

第10章
「一流の頭脳」マニュアル
おわりに ただちに本を閉じよう
「一流の頭脳」用語集(ⅵ)
参考文献(ⅰ)

アンダース・ハンセン (著), 御舩由美子 (翻訳)
サンマーク出版 (2018/2/23)、出典:出版社HP