【レビュー】脳が冴える最高の習慣術~3週間で集中力と記憶力を取り戻す

3週間で記憶力と集中力を取り戻す

本書は、ブレイン・フォグという、新しい流行病の概念とそのブレイン・フォグが起きる原因と対策について解説した本です。ブレイン・フォグとは、脳がうまく働かない、脳の中にもやもやとした霧がかかったような感じがする、自分が自分じゃないみたいという症状がある慢性的な認知と気分の問題であると著者は言います。

アメリカではこのブレイン・フォグに悩まされる人が多いとされています。日本でも、この症状に見舞われている、という方もいるかもしれません。本書の著者は、人気がある心理療法のセラピストであり、現代人が抱える脳がうまく働かない状況を解決するメソッドを、具体的な治療プログラムとともに、本書で紹介しています。

基本的に、ブレイン・フォグの原因は、普段食べているものや生活習慣にあるとしています。そして、それらが脳に悪影響を与えるメカニズムを説明し、どのように改めるべきかを提案することが本書のメインテーマとなっています。食べ物に関する部分については、かなり詳細に書かれており、代替品の紹介もしています。

有名な『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』(ダイヤモンド社)を彷彿とさせる内容で、脳がどれほど食べたものに影響され、パフォーマンスをあげるためには、どの食品を選ぶべきかを具体的に記しているのは共通しています。ライフスタイルについては、睡眠や運動、ブルーライトの悪影響といった一般論とも重なる点も多いですが、マインドフルネスに関連した精神的な豊かさを目的とした取り組みについても触れていることは印象的です。

特に著者は、スピリチュアルな取り組みを行うことの意義を記しており、自然とのふれあいやある程度電子機器から離れることが良い結果をもたらすことを示す研究の紹介も行っています。本書の最後では、3週間のブレイン・フォグ治療プログラムが掲載されています。ブレイン・フォグに悩まされている方や集中力が徐々になくなっている、という方は、一度読めば、新たな発見があるかもしれません。

マイク・ダウ (著), 坂東 智子 (翻訳)
大和書房 (2017/10/15)、出典:出版社HP

はじめに

この本は、あなたが脳をもっと大事にして、「不安」「うつ」「注意散漫」「ブレイン・フォグ(頭に霧がかかったようになって、思考力が働かなくなること)」などを解消するためのものだ。こうした問題に、じつに多くの人が悩まされている。

さらに、この本では、あなたの人生を、もっと楽で、幸せで、充実したものにする簡単な方法も紹介する。あなたの「脳」と「人生」は、おおいに関係がある。脳が不調なら、あなたの残りの人生も不調に陥る可能性が高いのだ。
私がこの本を書くのは、友人のジェーンや先日、私のところに来た患者さんのような方々のためだ。ジェーンは自分を幸せな人間だと思っているのに、いつもひどくふさぎ込んでいる。そして彼女は、その原因に気づいていない。

彼女たちは、ストレスでまいっていたのだ。だが、瞑想合宿などに参加してリフレッシュする時間もなければ、仕事を辞める金銭的自由もない。

また、私がこの本を書くのは、祖父や母、弟のためでもある。

祖父は私のアドバイスー もの忘れ防止のために、もっとベリー類(イチゴやブルーベリーなど)を食べ、好き な旅行も続けたほうがいいーを守ってくれている。
母はダイエットコークを1日に10本も飲んでいたが、それをやめたら失っていた活力を取り戻した。
弟は若くして脳卒中に見舞われ、その後遺症で失語症になった。その後かなり回復し、ほかの失語症の 人々を支援する組織「Aphasia Recovery Connection (アフェイジア・リカバリー・コネクション)」を共同設立した。彼は支援活動を通じ、目的意識を持つことで、生活のあらゆる面を立て直せることに気づいた。

私がこの本を書くのは、自分のためでもある。私ときたら、もう10年も認知行動療法(認知のしかた――考え方や感じ方を修正する心理療法)のセラピストをしているのに、自分が勧めている手法を実行しなかったせいで、しばらくうつ状態に陥ることがいまだにあるのだ。

じつは何年か前、私は無意識のうちに、自分のことを症例研究の対象にしたことがある。自分を実験台にして、何をしたら、人生の「つらい時期」を乗り越えられなくなるかを調べたようなものだ。
そのころの私は、つらい別れを経験したばかりで、セラピストの仕事のほか、初めての著書の仕上げや、新しいテレビ出演の仕事も抱えていた。もう一杯一杯だと思っていたし、ものごとを明確に考えることも困難になっていた。そして何と言っても、ひどい「悲しみ」に襲われていた。

問題だったのは、「悲しみ」そのものではない。悲しみが私の行動を変え、しまいには、生活全体を支配し、さらに破綻させたことだ。それまでは、ペスクタリアン(動物の肉は食べないが、魚は食べるベジタリアン)として、天然のサケや体にいい穀物、オーガニック野菜(化学肥料や農薬、遺伝子組み換え技術を使わないで栽培された野 菜)を食べていたのに、ピザやターキーサンドイッチ、アイスクリームに手を出すようになった。

夜更かしすることも、自分でもうんざりするほど増えた。深夜3時までテレビを見て、それから昼まで寝てしまうことがあったし、夜遅くまで飲んでしまい、翌日は、1日を乗り切るのにコーヒーを5、6杯飲まねばならなくなることもあった。1日中疲労感を覚えるようになってからは、夜寝つくのにも苦労した。

運動にも熱心に取り組んでいたのに、ほとんどやらなくなった。それまで数十年にわたって落ち着いた状態を保つのに役立っていた「瞑想」「ヨガ」といったスピリチュアルな取り組みもやめてしまった。友人や家族とも、繋がりを持つどころか、会う計画さえ立てなかった。

仕事の責任だけはどうにか果たしていたが、内面では、混乱し、タガがはずれ、つねに落ち込んでいた。やけ食いし、やけ飲みし、コーヒーをがぶ飲みし、人づき合いを絶ち、短期間だが、抗不安薬にまで手を出した。こうしたことはどれも、一時しのぎにしかならず、内面の状態を改善するどころか、さらに悪化させた。

このようなみじめな状態は、数週間で終わらせるべきだったが、実際には数ヵ月も続いた。その時期に身をもって知ったのだが、人は、人生で体を最も大事にすべきときに限って、最も大事にしないものだ。気分がいいときなら、ヨガの教室に顔を出すのも簡単だ。でも本当は、気分が最悪なときこそ、そういうところに顔を出す必要がある。

マイク・ダウ (著), 坂東 智子 (翻訳)
大和書房 (2017/10/15)、出典:出版社HP

ようやく苦しい状況から抜け出したとき、私は二度とそうした状況に陥るまいと心に決めた。この先、どんなにつらい時期にも、自分が勧めている手法を実行し続けようと誓いを立てた。そう決心したことが、色々な面で役に立った。

「つらい時期」は誰にでも訪れる。私もその後、何度かつらい時期を経験した。昨年などは、父の死と大親友の死を立て続けに経験した。それでも、自分へのケアは続けていた。

つらさを解消できたわけではなく、悲嘆にくれて毎日のように涙がこみ上げた。だが「悲しみ」には、私の生活を支配させなかった。自分が望んでいる生活のしかたを、捨てることはなかったのだ。

私は、つらい時期は風と同じで、必ず過ぎ去るということを学んだ。あなたは、雨が最も激しいときは、窓に板を打ちつけて、家の中に留まるタイプだろうか。それとも、波にさらわれ沖に流される危険があると きに、あえて泳ぐタイプだろうか。あなたには、前者になってほしい。この本がその一助となれば幸いだ。

あなたに朗報を1つ。あなたの内面の「蓄え」を強化することは、あなたが想像するほど難しいことではない。続けるのが難しいような方法で、あなたの生活の1つの面を徹底的に改善するのではなく、まずは達成可能な方法で、生活の色々な面を少しずつ修正しよう。この本では、そのための手法を紹介する。

というのも、私は何千人もの患者さんに接した経験から、頭の調子や気分を改善するには、生活全般に配慮しなければならないと学んだからだ。だから私は、何を食べればいいか、どのように睡眠をとればいいのかまでを具体的にお伝えする。

また、人づき合いや、ソーシャルメディア(SNSや電子掲示板、動画や画像の共有サイトやブログなど)への接続を 絶つことについてもお伝えする。さらに、体を動かすこと、人を愛すること、心の安らぎを見つけること、本当の自分を思い出すことについてもお伝えしよう。

この本を読み進めるうちに、あなたは簡単な修正が生活に大きな違いをもたらすことに気づき、色々な知識を備えることになるだろう。

たとえば、牧草で育てられた牛の肉やクルミが気分を改善し、安価な香辛料が認知症になるリスクを減らすこと。気分を高めるには、人づき合いがどんな処方薬よりも効果があり、ソーシャルメディアには、人間関係を改善する力もあれば、悪化させる力もあること。瞑想や祈りが脳にいいこと。そうしたスピリチュアルな取り組みは、余暇に任意でおこなうようなものではなく、人間であることの証となること。

そして最後に、そうした知識をあなたの日々の生活に生かすための「3週間プログラム」を目にすることになる。

あなたは明日の朝、目覚めた瞬間から、一見意味のないような選択をおこなうことになる。しかし、そう した小さな選択が、時とともに、あなたの様々な面に影響を及ぼしていく。小さな選択が、あなたの体、あなたの考え方、感じ方、行動、人間関係、世の中への貢献に影響するのだ。

この本を通じて、一見意味のないような選択を、意味のある選択に変える方法をお伝えしたい。今日の選択が、少しいい明日に繋がるのだ。

(絶好調のドクター)マイク・ダウ

マイク・ダウ (著), 坂東 智子 (翻訳)
大和書房 (2017/10/15)、出典:出版社HP

目次

はじめに

第1部 頭がぼんやりして、集中できない人が増えている
第1章 なぜ、脳がうまく働かなくなっているのか?
「ブレイン・フォグ」を理解しよう
生活のほとんどの面で脳にダメージを与えている
体、脳、社会性、心の健康は繋がっている
孤独時間の増加が問題を悪化させる
薬の治療に頼る前にやるべきこと

第2章 問題があるのは「あなた」ではなく、「あなたの脳」だ!
まずは脳内化学物質のバランスを取り戻そう
セロトニン、ドーパミン、コルチゾールの働き
「脳内化学物質」が鍵を握る
故障の原因をすべて把握しないと車は走らない
集中力、記憶力、喜びを取り戻そう

第2部 「脳」は「食べもの」によって作られる
第3章 炭水化物――血糖値の急上昇と急降下を招く
血糖値の急激な変動が脳内物質のバランスを崩す
「グリセミック指数」に注意せよ
栄養素を取り込めば脳がうまく働くわけではない
「高GI炭水化物」は脳にとってのコカイン
安易に人工甘味料に切り替えるのはもっと危険!
まずはいつも食べている食品を1つ置き換える
「血糖値スパイク」を防ぐ5つの提案

第4章 脂肪―いい脂肪もあれば、悪い脂肪もある
低水銀のシーフードをもっと食べよう!
脳に「オメガ3脂肪酸」が必要な理由
なぜ魚をたくさん食べる人は機嫌がいいのか?
「オメガ6」と「オメガ3」の割合を意識しよう
「オメガ3脂肪酸」の割合を高める簡単な方法
魚好きな日本人が水銀を気にしない理由
もう1つの選択肢は「オリーブオイル」

第5章 タンパク質―意外に難しい「上手な取り込み方」
栄賛成分の表示に肝心な情報が抜けている
私たちは加工大豆をとり過ぎている
「発酵させた大豆」を積極的にとろう
オーガニックの畜産物には高い価値がある
食べたほうがいい肉類、避けたほうがいい肉類
乳製品と卵もオーガニックのものを選ぶ
畜産物を別のタンパク源に切り替えよう

第6章 「地中海食」の勧め―食事の全体像を考える
「地中海食」とは何か?なぜ勧めるのか?
果物と野菜――ラッキーナンバーは「7」
「コファクター」がなければアミノ酸も無意味に
「この飲みもの」からカフェインを摂取しない
1日3杯のコーヒーが体にも脳にもいい
赤ワインは少量だけなら毎晩飲んだほうがいい
「地中海食」にインドの香辛料をプラスしてみて
私たちの心身の状態は何を食べているかで決まる

第3部 あなたの脳を汚している「意外なもの」とは?
第7章 不必要な「薬」の飲み過ぎをやめよう
問題解決の第一は人間関係の充実から!
楽が増えるほど、問題も増えていく
「合法的な」薬のリスクを理解しよう
小さなオレンジ色の処方薬ボトルには問題が多い

第8章家庭内に潜んでいる「毒素」と戦おう
いつもの飲料水に有害な物質が潜んでいる?
調理器具があなたを不調にしている可能性がある
目に見えない毒素―室内のよどんだ空気
洗剤の問題点――掃除中にぼんやりしてない?
運動の勧め―毒素は脂肪に蓄積する

第4部 「脳にいい」ライフスタイルへの改善
第9章座ってばかりの生活を改めよう
「運動」と「脳」は密接な関係にある
たった6分の歩行が「座り病」を予防する
運動は「ハードさ」より「継続性」が大事
「リーキー・プレイン」とは何か?
処方箋は「体を動かすこと」

第10章 質のいい睡眠のために必要な光、不要な光
脳は夜も光を浴びる生活に耐えられない
どのくらい眠ったら「十分」と言えるのか?
睡眠不足は気分だけではなく記憶にも悪影響
睡眠不足の2大弊害――肥満と癌
カフェインを控えよう
睡眠薬の危険性―女性と高齢者はとくに注意!
不眠への効果は生活習慣を改めたほうが高い
食べものの改善とサプリメントで自分を変える

第11章 電子機器をオフにしてみては?
昼も夜も気を取られて……
スマホやパソコンには中毒性がある
マルチタスクマニアの幻想を正す
ソーシャルメディアは感情をネガティブにする
デジタルの世界から少し離れる3プラン

第12章 死に至る病 ― 「孤独感」の愛延
知らない人ばかりに囲まれる生活が当たり前に
抗うつ剤が親しい人を遠ざける
結婚は孤独を遠ざけ、幸せを感じやすい
友人の総数より親友の数のほうが大事
血の通った人間関係こそが「脳」に効く
「孤独感」を和らげるための繋がり

第13章 論理や科学では埋められない精神的な飢え
科学的なスピリチュアルへの取り組み
気軽にスピリチュアルを始められる3つの入り口

第5部 ブレイン・フォグ治療プログラム
第14章 プレイン・フォグ治療プログラムの概要
第1週7日間「気分」革命 「食べもの」の修正
「認知のしかた」を修正する

第2週7日間「エネルギー」革命
毎晩8時間の眠りにつこう!
1日44分の有酸素運動を意識して
脳を目覚めさせるNバック課題に取り組む
何か「新しいこと」をやってみよう
ターメリックと黒コショウを含む食品を食べよう
集中力の持続時間を延ばす簡単な裏技

第3週7日間「スピリット」革命
「プログラムに戻ってくるとき」のサイン

第6部 プレイン・フォグ治療プログラムの全日程
第1週―7日間「気分」革命――のワークブック
第2週―7日間「エネルギー」革命――のワークブック
第3週―7日間「スピリット」革命―のワークブック

おわりに
付録A Nバック課題
付録B 色々なスムージーを作って楽しもう!

マイク・ダウ (著), 坂東 智子 (翻訳)
大和書房 (2017/10/15)、出典:出版社HP